77.落語絵本 十 たがや

落語絵本 十 たがや

川端誠 2006.7 クレヨンハウス 

 

吾子ハマリ度 ★★★☆☆
親の偏愛度  ★★★★★
うちで活躍した時期 4歳~
落語を絵本で子どもに、というのは親のほうの欲目そのものだなーとも思いますが、私も落語に詳しいわけではなかったので、あ、こんな絵本シリーズがあるのかということで既刊のものを一通り読んだのがこのクレヨンハウスの川端誠さんの落語絵本シリーズ。他の落語の絵本シリーズもあるのですが、川端誠さんの親しみのもてる絵によるこのシリーズが気に入った次第。「はつてんじん」「ときそば」みたいなもちろん知っている話もあれば、「たのきゅう」みたいに全く知らない話もあるなかで、この「たがや」という話が随一気に入ったというか、単体の話として、めったにないほど好きになったのです。
江戸、花火の日、大勢の見物客でごった返した橋、したの川にも見物船が多数行きかっている、そのなかでとある妊婦が産気づいて…という話。そこから、縁もゆかりもない見物客たちが協力し合って、という光景が繰り広げられていき、最後には、「たがや」という題名が回収されて終わる。この江戸の人情ときっぷのよさみたいなものが凝縮されたような話、そして川端誠さんの手による江戸の活気ある情景、が結晶したような作品で、本当にいまでもお気に入りの一冊である。
落語だけに、絵本や昔話といった子供用のお話では見ないような話がこのシリーズはたくさんあって面白い。絵本は似た話が多いな、となっている人も楽しめる。最近、狂言の絵本シリーズがあるのを見つけてこれもシリーズを一通り読んでみた。狂言の方が、話自体、筋自体がシンプルなんだなあと印象に残った。

狂言えほん ぶす (講談社の創作絵本)