100.母と子のおやすみまえの小さなお話365

母と子のおやすみまえの小さなお話365

千葉幹夫編著 2009.9 ナツメ社

 

吾子ハマリ度 ★★★★★
親の偏愛度  ★★★★★
うちで活躍した時期 5~6歳
この本を、寝室で1日1話~数話読んでから電気を消すルーチンができて、年長のおよそ一年弱、ちょうど幼稚園を卒業した春休み、小学校入学前に全366話を読み終えたのは、親満足の思い出となりました。この本は、親の私は長く本棚にとっておくのではないかと思います。という、就学前の節目を形作った我が家の一冊。
日本と世界の有名な昔話やおとぎ話が基本1ページ1話、1月1日から12月31日まで用意されている本。類書もたくさんありますね、この本自体も新版があるようですし。フィクションだけでなく、訓話的なものも織り交ぜたやつとかもあるかと。
最初にこの本を手に入れたのは3歳頃で、そのときは読み聞かせても音読だけ聞くのが退屈らしくハマらずで、「これは使わず終いかも」と思っていたのですが、だいぶたって年長になった時分にふいに取り出して、寝室で1日1話読むようにし始めたところ、「寝室に行く」動機ができてルーチンになった。夜ベッドにごろごろしながら音読の声を聞くのは、幼稚園で話を聴く鍛錬をしたからか、年長くらいになると心地よいらしいと観察します。
親も、知っている話の知らない筋書きを改めて知ったり、名前だけ知っている話がこんな話なのかと驚いたり、と楽しい毎日で、今日はどの話を読むのか、ということ自体が寝室に行く楽しい動機になりました。きっと親の方が楽しんでいたんでしょう。

この本は一休さんとんち話やきっちょむさん話などが複数話ずつ入っているものもあり、一休さんみたいな存在を知っとくのにはよかったかも。まあ、話の大半は忘れていることでしょう(私も忘れているし)。でも、ルーチンになってからは、電気を消すのを遅らせたいからもあるでしょうけど、「もうひとつお話して」と要望してくるようになったので、吾子にとってもそれなりに楽しい時間であったのかもしれません。
ちなみに、この本が終わってから、子どもの詩の本を寝室本にして読んでみようかとトライしましたがなーんか続かず。吾子がなぞなぞ本とか動物本を寝室に持ち込んだりしてコレと決まらんのも理由ですが、本人が読みたいものがあるならそれでよしで。今思いついたけど、ちょっと前に四字熟語とかに興味を持ったので(日本語であそぼ、の影響)、四字熟語やことわざ本とかはアリかも。

こころのねっこ-「こどもの詩」55周年精選集(2017-2021) (単行本)

ま、いずれ別々に寝るようになる遠くないその日まで、寝室ごろごろ時間が楽しい時間であれば、というだけで。普通に話だけする時もあり、らりらりら(ピタゴラスイッチの五文字回文)をつくって遊んだり、しりとりしたりもしております。

私は本が好きなので、本を読む人になった方が人生は楽しいし、人生に本があった方が救われると思っていますが、できることは家の中に当たり前に本がある環境をつくるとか、何かのついでに図書館に一緒に行くとか、読めそうな本を置いておくとか、くらいで、それで結果どうなるかは本人の思うままに、です。

99.1ねん1くみの1にち

1ねん1くみの1にち

川島敏生 2010.8 アリス館

 

吾子ハマリ度 ★★★☆☆
親の偏愛度  ★★★★☆
うちで活躍した時期 4歳~
「小学校に入る、通いだす」ことをテーマにした絵本も、実はその時期になって目を凝らすといっぱいあるものだなと思いますし、概ねにおいて「小学校って怖くないよ」という親も求めているメッセージを代わりに伝えてほしいという絶えないニーズに応えるものだからだと思うのですが、私はそうしたフィクションや絵本より、写真で実際のあるクラスの様子を定点観察したこの本がいちばんいいと思いました。「友達ができるよ」みたいなつくり話よりも、写真家の面白がった目線で眺める実際の様子のほうが、ずっと小学校のことがよく分かるし、親近感がわくように思うのです。実際、親もうっかり「小学校って楽しいところなんじゃないか」と思ってしまうほど、この本は小学校という場所をチャーミングに思わせてくれるのです。幼稚園児だった吾子も、教室にいる男の子女の子についた吹き出しを面白がり、小学校という未知の場所を知らないワンダーランドのように疑似体験していました。

「小学校」をテーマにした本を、という人にお勧めしたい一冊。

98.おとうさんとぼく

おとうさんとぼく (岩波少年文庫) おとうさんとぼく 2 (岩波少年文庫 2109)

e.o.プラウエン 2018.7 岩波少年文庫

 

吾子ハマリ度 ★★★★☆
親の偏愛度  ★★★★☆
うちで活躍した時期 5歳~
マンガに、何からどう入るかも親としては興味深かったところで、一番最初に吾子が触れたマンガはドラえもん大長編でありました。恐竜と日本誕生が大好きで、理由は恐竜が出るからと、ペガサスとかが出るから。新恐竜もフィルムコミックを欲しがって読んでいました。が、そこからマンガを読みたいとなったか、ドラえもんマンガに行ったかというそうはならず、おそらくやっぱりそうはいっても文字を結構読まなきゃいけないのが障壁かと観察していた。

大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) 大長編ドラえもん9 のび太の日本誕生 (てんとう虫コミックス) 映画ドラえもん のび太の新恐竜 (てんとう虫コミックス)

で、見つけたのがこの『おとうさんとぼく』。この四コマ漫画は、字が一切ないのだ。そして、幼稚園児でもゲラゲラ笑えるほどわかりやすいスラップスティック的お話。ドタバタ感はトムとジェリー的なテイストなんだけど、こちらは対立でなく、仲の良いおとうさんとぼくが繰り広げるあれこれで、基本的にハートウォーミングなのもいい。偶然見つけて、最初は親が擬音まじりで読み聞かせて一緒に笑う、という読み方をした。が、6歳になって、ひとりでゲラゲラ笑いながら読むようになっている。マンガの入り口として、結構いい2冊なのではないかと思う。内容のいい意味でのくだらなさもばっちり未就学児向けなのです。
でも、ついている解説を読むと、このマンガはドイツで1934年から国民的人気になったものらしいが、著者は風刺画も描いていてナチスの犠牲になったらしく、それを踏まえるとこの明るさ・能天気さ・牧歌さの別の面も感じるのです。

97.ぼくはめいたんていシリーズ

きえた犬のえ (ぼくはめいたんてい 新装版)

マージョリー・W・シャーマット/ぶん マーク・シーモント/え 光吉 夏弥ほか/やく 2014.10~ 大日本図書

 

吾子ハマリ度 ★★★★☆
親の偏愛度  ★★★★★
うちで活躍した時期 6歳~
絵本から次の段階に、挿絵のたくさん入った50ページ前後の読み物というのが待ち受けていて、わたしはこのシリーズを知らずなにかで知って借りて読んでみたのだけど、うってつけのシリーズだなと思い、実際吾子もひとりで読むようになった。身の回りで起きる事件の面白さ、捜査の過程、一度家に帰ってホットケーキを食べていると飼い犬がヒントをくれて、で、解決する、というフォーマットなんだけど、毎回工夫があって面白い。ヒントが散りばめられて、面白い真相がある、とちゃんと推理小説になっていて驚く。まわりのレギュラーキャラクターも個性豊かだし、関係もいい。よくできているなあ、なんでこんなよくできたシリーズ知らなかったんだろう、と。犬の絵が消えた、どこにいったのか。かいものメモはどうなったのか。子どもの周りで起きる事件ということで、失せものが多い気がするけれど、いずれも真相がひと工夫ある。もっと知られていいシリーズだと思う(とっくに知られていたら不明を恥じるのみですが)。全17冊と楽しめる。
で、このシリーズを読み進めるなかで並行して見つけ、吾子がハマったのが『めいたんていサム』シリーズ。こちらのほうが、事件や推理が込み入っていて歯ごたえがある。本当にとてもよくできている。「登校時に知らない犬につきまとわれる」謎の真相とか、唸った。と思ったら、「ズッコケ三人組」の著者だ、とまたびっくりした。こちらは全3冊。

めいたんていサムくん (だいすき絵童話) めいたんていサムくんとあんごうマン (だいすき絵童話) めいたんていサムくんと なぞの地図 (だいすき絵童話)

この二つのシリーズで、吾子は文章を読む本に入っていったところがある、という意味でうち的にはメモリアルなシリーズ(その前に『たんたのたんてい』『たんたのたんけん』や『大どろぼうホッツェンプロッツ』なども読んだけど、それは親が読み聞かせる形だった)。実際どのくらいちゃんと文章を読んでいるのかはわからないけど。事件の真相がどうだったのかと訊くと、一応正しい答えは返ってくる。

96.頭がよくなる!ちょいムズおりがみ

頭がよくなる! ちょいムズおりがみ

山田勝久著 篠原菊紀脳科学監修 2022.4 西東社


吾子ハマリ度 ★★★★★
親の偏愛度  ★★★★☆
うちで活躍した時期 6歳~
6歳になるかならないかの頃からブームが始まり、いまなお続いているのがおりがみです。4歳くらいのときにおりがみの本を最初に買ったときは全然見向きもしなかったのですが、急になにか歯車があって猛烈にはまっています。最初はしゅりけんでした。折れるようになった喜びで、「今度は何色で折るー?」といくつもいくつも折りまくっていました。
その頃買ったのがこの本でしたが、これは順序的には失敗でした。かっこいいのがたくさん載っているので買ったのですが、題名の通り難しいのです(こちらが悪い)。大人でも歯ごたえあるレベル。なので、他にいろんなおりがみ本を逍遥しました。
『いちばんよくわかるおりがみの本』『男の子のおりがみ』。この辺が、難易度が低いものから載っている入門編として使ったもの。後者は、ちょっと歯ごたえあるものまで載っていて範囲が広くていい本。類本には、『おりがみ大全集』『男の子のかっこいいおりがみデラックス』なども使わせてもらった。

増補改訂版 いちばんよくわかる おりがみの本 親子でいっしょにつくろう!男の子のおりがみ 改訂版 おりがみ大全集 つくってあそべる! 男の子のかっこいいおりがみ デラックス

が、やっぱり吾子的には「つくりたいものをつくりたい」という作品至上主義で本を選びたがり、難易度を度外視するので、最初にしては難しい本を選び続けておりました。動物・昆虫・恐竜好きなので、川畑文昭さんがドンズバだったのですが、やっぱり完成品を見ればわかるけれど、なかなかに難しい。でも、チャレンジをしていました。
『昆虫のおりがみ』『恐竜のおりがみ』『恐竜と古生物の折り紙』『絶滅生物の折り紙』など、完成品がカッコいいんですよね。

昆虫のおりがみ:子供も大人もリアルな仕上がりを楽しめる (おりがみランド+) 恐竜のおりがみ:子供も大人もリアルな仕上がりを楽しめる (おりがみランド+) 恐竜と古生物の折り紙: 太古に暮らした生き物たちの造形美を紙で表現 絶滅生物の折り紙: かつて存在していた生き物が一枚の紙でよみがえる

その後見つけたのがフチモトムネジさんで、この方の本もいろんな動物や昆虫がカッコよくできるんですが、やっぱり難易度はちょっと高め。でも、この人の本にたどり着くころには吾子も腕が上がっていて、ひとりでそこそこの難易度のものができるようになっていたので、いっとき家にいるときは折り紙ばっかりしていました。
『おりがみペットパーク』『オリガミューズメントパーク』『オリガミアドベンチャーランド』『折り紙昆虫記』『爬虫類・両生類折り紙』など、だいぶこの辺でいろんなものを作りました。

切らずに1枚で折るどうぶつおりがみ おりがみペットパーク 切らずに1枚で折る折り紙ワンダーランド オリガミューズメントパーク 切らずに1枚で折る 折り紙恐竜と伝説の生物たち オリガミアドベンチャーランド 

切らずに1枚で折る 折り紙昆虫記 切らずに1枚で折る 爬虫類・両生類折り紙

その先、youtubeを見ながらポケモン折り紙を折ったり、何か面白い動物の折り紙を探しては折ったりするようにもなり、できた折り紙が段ボールいっぱいになっている。時々出してきて前につくった折り紙でごっこ遊びをしたりもしています。手先が器用になっているかは全く分かりませんが、楽しいならよいかと。おりがみ、もう少し続きそうな気がします。

95.なんでもかけちゃうよ/おえかきずかん/お絵かき辞典

なんでもかけちゃうよ (エンバリーおじさんの絵かきえほん)

エド エンバリー  横山直子翻訳 1999.3 偕成社

おえかきずかん (WORK×CREATEシリーズ)

イラスト・西脇せいご 監修・ズーラシア 野毛山動物園 金沢動物園 2018.10 コクヨ

お絵かき辞典: 描きたい絵がスイスイ描ける

ミヤタチカ 2013.6 誠文堂新光社

 

吾子ハマリ度 ★★★★★
親の偏愛度  ★★★★☆
うちで活躍した時期 4歳~
この三冊は、「お絵かきが好きになる三冊」として、広くお勧めしたい。題名の順番で与えていくのが吉。『なんでもかけちゃうよ』は、動物から乗り物から人間まで、幅広いピクトグラム的な簡単な絵の、線を描く順序がたくさん収められている一冊。その通りいくつか描いてみるだけで、「あ、絵って簡単だ」と思ってもらう入口として最適な一冊だと思う。
そして、『おえかきずかん』は、動物の書き方集。おさめられている動物の数は他の二冊ほど多くはないけれど、エランドとか、本格的な動物がけっこうな質感で描くことができる、その線手順が書かれている。この本を書くと、けっこう迫力あるトラとかも書けるようになる。動物に特定されているけど、「こんな絵まで描けるんだ」とめっちゃアガる一冊。
そして三冊目の『お絵かき辞典』は集大成。動物、昆虫、有名建築物、果ては偉人の似顔絵まで、あらゆるものがめちゃくちゃな量でおさめられている。ひとつひとつ線手順を示してくれるわけではないが、真似て描ける程度になっていたら、アインシュタインだってなぜかピサの斜塔だって描ける、という無限の自由へ広がる一冊。
この三冊を与えていけば、絵を描けるという意識が芽生え、もくもくといろんなものを描く時間が生まれるのではないか、という自信をもってお勧めしたい三冊。もちろん子どもによるけど、うちの子はこの三冊で絵が好きになりました。

94.パノラマせかいりょこう

コクヨ KE-WC14 WORK×CREATEシリーズ パノラマせかいりょこう

てづかあけみ 2009.10 コクヨ

 

吾子ハマリ度 ★★★★★
親の偏愛度  ★★★☆☆
うちで活躍した時期 3歳~
一枚のながーいボードペーパーが蛇腹式になっていて、表は女の子が、裏は男の子が、世界中の都市を旅する絵本。amazonにも写真載ってますが、厚紙で蛇腹式なので、床に立てて広げると世界各都市がそこに登場する、という遊び方ができるのが最大の特徴。

この本、吾子がなんだか好きで結構な頻度で持ち出してきて、床に広げてはトミカやらをもってきて配置して、ごっこ遊びの舞台書割としても使っていた。広げて順繰りに眺めたり、プレイフィールドを展開したり、絵本とおもちゃの間みたいな使い方ができるものとして寵愛されていたと観察している。
男の子の旅に女の子が、女の子の旅に男の子が、隠し絵的に配置されているのを見つけるのも楽しい、カワイイ絵、各都市の雰囲気、いろいろと隙のないアイテムなんだな、と持ち出してくる吾子を見ながら思う一冊。いただいたものなのだけど、確かに男児女児問わない、風変わり=もっていなそう、絵本にもおもちゃにもなる汎用性、という意味で、贈り物としていい一冊に思う。